腰痛?ヘルニア?坐骨神経痛?綾巻ロープで考えてみません?
- ryoutakuan
- 5 日前
- 読了時間: 8分
「T1」よりは「T2」かな?いやいや「STIR」もいいかもよ。
いきなり何のこっちゃ、「T1」「T2」ってシュワちゃんの映画の話か?と思われた方もおられると思いますが、これはMRI画像の種類の名称なんです。

受け売りで恐縮ですが、
「T1」強調画像は水分と炎症が黒く写ります。
「T2」強調画像では水分、炎症、脂肪が全て白く写ります。
「STIR」画像では水分と炎症が白く、脂肪が黒く写ります。
じゃ、なんでこんな種類があるのかというと、一言で「腰痛」といっても、症状によって診断に効果がある画像があるからなんだそうです。
(言い換えると、お医者様の見立ての違いや画像の取り方によっては、正しい「診断」が下せていないケースもあるってこと・・・いやいや、そんな事はないでしょうけど)

それぞれの画像で診断に効果的な症状を一応あげておくと
「T1」・・・腰椎終板炎
「T2」・・・椎間板ヘルニア、椎間板性腰痛、腰椎終板炎、腰部脊柱管狭窄症
「STIR」・・・腰椎圧迫骨折、椎間板性腰痛、腰椎終板炎、腰椎分離症、椎間関節炎
だそうです。(西良浩一先生「腰痛完治の最短プロセス」角川書店)
重なっているのは、それぞれを突き合わせて診ることで確定診断になるということだろうと思います。
ただ、またまたここで生来の“ひねくれ者の自分”が頭をもたげて来るんです。
患者様からも、また他の色んな現場でもよく耳にすることがあります。
「ヘルニアがあるから(病院で言われたから)腰痛なんです」と。
以前はよくやっていたのですが今はヤメテいることがあります。
それは、そのお話をされた方に
「ヘルニアってどんな状態だったんですか?」
と訊ねることです。
ウイキペディア先生によると
ヘルニアとは、体内の臓器などが、本来あるべき部位から「脱出・突出」した状態を指す。体腔内の裂隙に迷入したものを内ヘルニア、体腔外に逸脱したものを外ヘルニアと呼ぶ。
ということです。それこそ、「ヘルニア」っていう言葉の語源はラテン語の「飛び出る」「脱出する」という意味です。腰でのヘルニア以外で有名どころだと「鼠径ヘルニア」なんてのがありますよね。本来ならお腹の中に納まっているべき腸などの内臓が鼡径部(タケシさんの「コマネチ!」の所)からはみ出ていて「脱腸」と言われる状態です。

「ヘルニアってどんな状態だったんですか?」
なんて聞かれても、よほど関心がなければ気にならないですよね。
話を戻すと、
じゃ、腰で起きる腰椎椎間板ヘルニアでは、何がどこからはみ出ているの?
と、“生来のひねくれ者の自分”なんかは即思っちゃうんです。
1) 椎間板というクッション材自体が押しつぶされて、本来の位置からはみ出ているの?
2) 椎間板の中にある髄核が椎間板からはみ出しているの?
3) その両方なの?
と。
というのも、ここで改めて椎間板の構造をご説明させていただきます。
前回のブログで触れましたが、椎間板は軟骨です。「線維性軟骨」と呼ばれ綾巻ロープみたいな形をしています。で、バームクーヘンの真ん中は空洞ですが椎間板には「髄核」というもので埋められています。
では、その「髄核」って何?というと、GoogleAI先生によると「ゼリー状の柔らかい組織」なんだそうです。さらにGoogleAI先生のお話によると、そのゼリーの中身の成分は「80%の水分と、プロテオグリカンというたんぱく質と多糖類が結合したもの」だとのこと。
要するに椎間板は「その80%が水分である髄核の回りが綾巻ロープのような形をした線維性軟骨で取り囲まれているもの」だということです。

とすると、とするとですよ、思いません?
MRI画像撮る時ってどんな体勢になってすか?って。
ほとんどの場合は「仰向け」じゃありませんか?
いや、もちろんうつ伏せや横向きもでの撮影もあると思います。
思いますけど、私がお聞きした患者様で仰向け寝じゃなかった人はお一人もありませんでした。
とすると、とするとですよ、思いません(その2)?
若くて瑞々しい軟骨じゃなく、ある程度の年齢を重ねらた(すみません、ハッキリ書きます。経年劣化した)線維性軟骨の隙間からほぼほぼ水分の髄核って簡単に「染み出」ませんか?で、水分でですから、必ず「下に染み出」ませんか?
MRI画像で「お腹側」に「はみ出した」ヘルニアの画像、観たことある人いますか?
(Google画像検索で探してみたのですが、残念ながら私は見つけられませんでした)
下の絵は、ヘルニアの色んなタイプを表したものです。

本来の位置から「はみ出した」繊維輪が脊柱管の中を通る神経や神経の出口を圧迫(刺激)している、というのは何となくイメージ出来ます。
けど、経年劣化した繊維輪の隙間から「染み出」したほぼほぼ水分である髄核が脊柱管の中を通る神経や神経の出口を圧迫(刺激)している、というのは私はイメージ出来ないんです。
水分が神経圧迫???
呼吸が出来なくて苦しいってこと?けど、脳から出た神経が通っている脊柱管の中は脳脊髄液という水分で満たされているんですよ?
そんでもって、実際に見たことをありませんが、解剖の本などで見ると神経が脊柱管から左右に枝分かれして体内に出て行く通り道の椎間孔って結構広いと思うんです。

私の中での大きな疑問があるんです。それは
神経って圧迫された痛みを起すの?
ということ。
圧迫されて起きるのは麻痺なんじゃないかと思うんです。
運動神経が圧迫されたら(圧迫が長い時間続いたら)、その神経が支配する筋肉が動かなくなる、と。感覚神経が圧迫されたら(圧迫が長い時間続いたら)、その神経が支配する部分の感覚がなくなる、といった具合に。
ハネムーン症候群などが有名です。


今治にいる時の患者様からお聞きしたお話は衝撃的でした。
その方は80代前半の男性でしたが、病院で「腰部脊柱管狭窄症」という診断をされたとのことでした。確かに、最初に来られた時は奥様が付き添いをされてなければ歩けないくらいに痛みが強かったのですが、自分が気になったのは、施術ベッドに横になる動作や、仰向け寝でいること自体で痛みが激しくなられていたことでした。
教科書的な「腰部脊柱管狭窄症」ではなかなか考えられないご様子でした。
年齢的な事もあって病院では手術を勧められなかったのかな?と思いお聞きしたのですが、「手術は勧められたけど(詳しくは省きますが色々な事情があり)嫌で、何か他にやりようはないかと思って来た」とのことでした。
ただ、“仰向け寝”だけでこんなに痛いとなると、どうしてもお聞きしたかったのがこの事です。

「こんなお辛い状態で、よくMRI撮影する時間ずっと我慢出来ましたね」と。
すると、こうおっしゃられたんです。
「そうなんやぁ。辛ぉと辛ぉとジッとしておられんかったから、写真がブレブレじゃったんじゃわ」と。
??????????×∞
もちろん、患者様のおっしゃる事のみの前提ですから違っているかも知れません。
ただ、もし患者様のおっしゃる通りだとしたら、画像による確定診断も出来なかったのに手術を???
とにかく、お医者様から勧められた手術を躊躇されている(手術しない選択をされている)のは患者様。私が、「手術なんかせんとウチで治療しましょ」とお勧めしているワケではありません。その旨ご理解いただき、
「先ずは一か月だけやってみましょう」
という事で施術させていただきました。
私が着目したのは、痛みが出る場所、痛みが強い時(動作、姿勢)、そして、ベッドに寝ようとした時に現れた痛みの場所と、仰向け寝になっている時に痛みが現れた場所。
そこをヒントに施術させていただいた所、2週間目にはお一人で車で来院され、2か月目には痛みの場所が小さくなり、3か月たった頃には趣味だった釣りに出かけられるようになっておられました。
間違えないで頂きたいのは、病院の診断なんてインチキだとか、画像診断に意味はない!ウチにくれば全て治してやるぜ!なんてことを言いたいんじゃありません。
一つは、私は画像診断があったとしても先ずは目の前の患者様の訴えを重視したいということです。
そしてその訴えをお聞きした上で、患者様の症状とその原因と「解剖学や生理学、運動学」に基づいて一つの物語に繋げる事が出来るのであれば、手術の思われる部位が前に私たちのような治療院を選択することも一つの手段ではないでしょうか、ということなんです。
さらに言えば、その物語の本筋が「骨盤が歪んで」とか「姿勢の歪みで神経が圧迫されて」なんて言う学問的根拠の乏しい、使い古された陳腐な物語であってはならない、ということです。
大事なのは、病院での画像診断があってにもかかわらず他に何か良い方法はないかと当院に来られた方の症状に着目し、その原因を考えることだと思っています。
言い換えるなら、たとえ画像に異常が現れていたとしても、それが痛みの原因なのか?痛みの原因が起した結果の一つなのか?そして、自分が考える「原因」が、その結果として画像にそういう状態を起すことに整合性があるか、ということです。
整合性があり、患者様のご了解をいただけるなら、何の躊躇もなく施術させていただきます。(おぉー!めっちゃカッコよく決まった^^;)

