「先生、お風呂入(はい)れたの」で気づいた「患者様こそ我が師2」
「先生、おかげさんでお風呂入れるようになったんよ」
こういう仕事をさせて頂いていると、時々「はっ!」とする言葉を頂くことがあります。
何が?お風呂入るかどうかが何なの?と思われるかも知れません。確かに、そうです。

自分もそうだったので、お聞きしました。
「え?今まではシャワーだけやったんですか?」
「そうなんよぉ。今まではお風呂がオックウていうか怖くて・・・」
自分はここでピン!ときました。
「じゃ、〇〇さん。去年の冬とかも?」
「そうそう、お湯にはつからんとね。シャワーでお湯を出しっぱなしにしながら体洗ったりしてたんよぉ」
「マジすかぁ!よぉ、我慢されてましたねぇ。風邪ひいたりせんかったんですか?」
「そのことよ。病院の□□先生には、いぃつも言われよったんよ。『〇〇さん、また風邪ひいたんかいな』てw」
「じゃ、今年の冬はしっかりお湯につかって下さいよ。で、今度は湯冷めして風邪ひいたりせんように気をつけてね」
この〇〇さん。80代の女性です。
色んな所が痛いツラいで来られてたのですが、先ずは「腰がツラいんよ。何とかなるぅ?」ということで通って頂いていました。
初診の時には、まぁ、色々お聞きしました。
まっすぐ立つのがツラい、立っていると痛くて座りたくなる、脚がダルイ、冷える、膝から下が張る、肩や首が痛い、寝ているだけなのに色んな所が痛くなる、寝返り・夜中トイレに行くのがツラい・・・・けど、色んな事に共通する「あの筋肉」がポイントだと自分は思いました。

とは言え、「・・・だから、お風呂でお湯につかることが出来ないのよ」というお話は聞けてなかったです。〇〇さんも、頭の中での優先順位が低かったのでしょうね。季節もまだ暑いころでしたから。
「ま、シャワーでサッパリ出来てるんやから、ええか」と。
何回か来ていただくことって大事です。
「施術の回数を重ねる」という点はもちろんですが、お話をしながら色んな「情報を得る」という点も見逃せないんです。
施術回数を重ねることで、少しづつではありますが、色んな「痛いツラい」が改善されておられました。そんな中での冒頭のお言葉でした。
「先生、おかげさんでお風呂入れるようになったんよ」
ホント、「はっ!」っとしました。「そっか、そりゃそうだ。お風呂で湯船につかるって『そういう事』やんか!」と。

「湯治」という言葉があるように、お湯につかること、身体を温めることって大事です。
言い方を換えるなら、「身体は冷えるとロクなことがない」です。
患者様からもよく聞かれますし、自分も結構な頻度で口にします。
「先生、お風呂はええの?」
「えぇ、今のご様子だったらお風呂でしっかり温まって頂くのは大事ですよ」という風に。
話は戻って、〇〇さん。
施術開始当初は苦労されてた施術ベッドでの寝起きや寝返り、立ち上がりも随分スムーズになっておられました。
ただ、気になるのはここでのご様子じゃなくて、お家でのご様子です。
「〇〇さん。今はいいんですけど、お家だとどんなですか?台所みたいな所のイスはええんじゃないかと思うんですけど、ソファとかに座ることありますか?」
「そうそう、それそれ。ソファやと立つ時にいっぺんテーブルに手ぇついてから、気合い入れて『よっこいしょ』言いながら立つんよねぇ」
「そっかぁ。けど、それでいいんで、慎重に立つようにして下さいね」
「うん。けど、前よりは全然ええんよ。前は、いっぺんソファで横になってから、床に膝と手ぇついてから『よっこいしょ』やったからねw」

人が「立つ」という動作ってのは「脚の筋力」だけに気がいきますが、それと同じくらい「重心の位置」がポイントなんです。専門家気取ってこ難しく言うと
「重心が支持基底面内にある状態でないと立てません」
もうちょっと砕いて言うと
「(ざっくり言って)おへその位置が左右の足で作った(つま先とかかとで作った)四角形の内側の上に無いと立てない」んです。
たぶん、大谷君でも室伏広治さんでも立てません(・・・ですよね。もしかしたら、彼らならという気がしないでもありませんが^^;)

試しに、イスから立ってみましょうか?
先ず、何をされましたか?身体を前に倒しませんでしたか?
立ちあがろうと脚に力を入れようとした直前でストップしてみて下さい。
両足で作った四角形の上におへそがありませんか?
ちなみに、背もたれにもたれてるとしましょう。お膝の角度は直角です。
背もたれから少し背中を離して、背中まっすぐにした状態で立てますか?おへそはお尻の上にありますが、両足で作った四角形の中にはない状態です。
ね。人は
「重心が支持基底面内にある状態でないと立て」ないんです。

こ難しく書きましたが、当たり前っちゃぁ当たり前のことなんです。

そして、その「重心を支持基底面内」にもって来る動作のポイントは何か?というと、「股関節」と「膝関節」の動きです。
台所のイスとソファ、さらにお風呂の湯船。
立ちあがる時の「股関節」と「膝関節」の動きの大きさ、違いますよね。
お風呂の湯船の場合、一度「股関節」も「膝関節」も最大限折り曲げてからの立ち上がり動作になります。
その時、どの筋肉に最も負担がかかるのか。どの筋肉がどうなっていると「立ちあがる」動作が困難になるのか。その筋肉が「立ちあがる」ことすら困難な状態になっていると、他の動作や症状にどう影響があるのか?



なんならお風呂。湯船で立ちあがった後、湯船をふちを乗り越えなければなりません。
乗り越える時に股関節」と「膝関節」は?その時重心は?
続いて、何をします?
またしゃがんで身体や頭を洗うとすると股関節」や「膝関節」は?
お身体を拭くとすると・・・様々な場面で関係してくる筋肉があります。
初診の時お聞きした、まっすぐ立つのがツラい、立っていると痛くて座りたくなる、脚がダルイ、冷える、膝から下が張る、肩や首が痛い、寝ているだけなのに色んな所が痛くなる、寝返り・夜中トイレに行くのがツラい・・・・
全部が全部ではありませんが、それらが解決・改善することの結果頂けた言葉が
「先生、おかげさんでお風呂入れるようになったんよ」
自分にとっては、色んな色ぉんなことが集約された金言です。
難しく言い換えるとすると
「先生、おかげさんで(=股関節や膝関節が動かしやすくなったから、お風呂から出る時のおっくうさや怖さが無くなったたおかげで安心して)お風呂入れるようになったんよ」
掛け値なしに「はっ!」としました。〇〇さん、本当にありがとうございました。

そして、問診での引き出しがまた一つ増えました。
「ところで△△さん、お風呂ゆっくり入れてます?」
という。
そこでのお答えが
「えぇ、お風呂は好きで入ってますよ」
でも全然いいんです。ただ、
「湯船から出るのはどうです?すっと上がれます?」
そこでのお答えが
「えぇ、問題ないですよ」
でも全然いいんです。ただ、中には
「そうそう、そうなんよ。お風呂は好きなんやけど、出る時がねぇ・・・」
こういう会話の中に、施術の大きなヒントが潜んでますから。
「患者様こそ我が師」を改めて感じています。





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